こんにちは!
学生野球の選手の皆さんにとって、卒業後も高いレベルで野球を続けるというのは、一つの大きな夢であり目標ですよね。
近年はMLBも身近な存在になっていますし、海外でのプレーに憧れている方も多いんじゃないでしょうか?
もちろん、MLBの舞台にたどり着くためにはとてつもなくハイレベルな才能が必要で、手が届かないと感じてしまう方の方が多いかもしれません。
しかし、海外でプレーするというのは何もアメリカだけが選択肢というわけではないんですよ!
今回は、
- 日本人選手が欧州の野球チームに入団しプレーするための方法
- 欧州球界に挑戦するうえで心得ておくべきこと
についてご紹介しますので、最後までご覧ください。
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ヨーロッパ(欧州)野球に関してはこちらの記事でも紹介しておりますので、合わせてお読みください。
目次
ヨーロッパでプロ野球選手になるには?
欧州各国のリーグにおいては、日本やアメリカと違って「ドラフト会議」という制度はありません。
また外国人選手が入団する場合には、アメリカのマイナーなどでの前歴がある場合にはそれを評価されて引っ張ってこられるか、もしくはトライアウトを受験して売り込むかという二択となります。
これは、実際に欧州の球団に所属するある日本人投手についてのお話です。
5年前、大学生だった彼は卒業後も野球を続けたいと考えていましたが、どのような進路を取るべきか悩んでいました。
そんな時、たまたまインターネット上であるイベントについての情報を見つけます。それは、当時既に欧州を拠点に活躍していた、池永大輔選手の講演会でした。
このイベントで池永選手と対面し刺激を受けた彼は、自らも欧州の舞台で戦うことを決意。
野球道具を詰め込んだスーツケース片手にまずドイツに渡ります。ところが予想外のことに、いつまでたってもどのチームとも全くコンタクトがとれません。
途方に暮れた彼は、ダメもとを承知で池永選手に相談。
すると幸運にも、当時スペインの球団でプレーしていた池永さんの元チームメイトを紹介してもらうことに成功します。このつてを頼りに、球団の本拠地であるマドリードに即日飛んだ彼は、トライアウトの末に入団を勝ち取りました。
このエピソードからも分かる通り、欧州でのプレー機会をつかみ取るためには行動力はもちろんのこと、時には選手同士のコネクションも物をいうわけですね。
欧州を目指す日本人選手に求められる資質
野球がまだマイナースポーツであるという国の方が多い欧州地域。
そこでプレーする外国人選手、とりわけ日本やアメリカといった強豪国出身者に対しては、非常に求められるものが多くなります。
では、欧州球界を目指す日本人選手にとって必要なものとはなんでしょうか?
もちろん、野球選手としての十分な実力があることは大前提ですが、それ以外にも重要な資質があるんですよ。
語学力
特に日本人にとって課題となるのが語学力と言えるでしょう。
英語はもちろん、できればその国の公用語(ないしは第一言語)も少なくとも日常生活レベル程度は話せるようになっておきたいところです。
ちなみに、上で取り上げた日本人投手は流ちょうにスペイン語を操り、その特技を生かした通訳・翻訳なども仕事としています。
語学力が必要なのは、単にグラウンド上でチームメイトと意思疎通するためだけではありません。若手選手に対する指導を行う上で、外国語のスキルは必要不可欠なのです。
突然ですが、ここでサッカー・Jリーグのクラブ組織がどうなっているか考えてみましょう。
Jの舞台で活動するトップチームが最も目立つ存在であることはもちろんですが、その傘下にはU18(18歳以下)やU15(15歳以下)、U12(12歳以下)といった年齢別のユースチームが備えられています。
将来のトップチームのスタートするべく育成が日々進められているんです。
https://twitter.com/SoccerKingJP/status/1063571164176367617
この組織構造は、欧州野球においても全く同じ。そして往々にして、ユースチームの指導者には野球先進国(便宜上こう表現しますが)出身の外国人選手があてがわれることが多いのです。
彼らはいわば、強豪国の育成システムの中で得た知見を次世代の選手たちに伝えていく、伝道師のようなもの。
20代半ばなど、日本の常識なら選手に専念するのが当たり前と思われる世代の選手であっても、それは一切例外ではありません。その役割を果たすためにこそ、最低限英語が話せることは必要なのです。
球団によっては若手への指導どころか、チームの最高意思決定機関である理事会への出席と、そこで自分の意見をしっかり述べることを外国人選手に求めるところさえあります。
もちろん、そこで求められる表現力がグラウンドでのそれより、数段ハイレベルであることは言うまでもありません。
グラウンドでは選手として日々の勝利に貢献し、試合がない日には若手を育てチームの経営にまで参画する。ここまでくるともう「助っ人」なんてものじゃありませんね。
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メンタリティ
また言葉の問題ともつながりますが、日本人選手にとってもう1つ重要なのが「チームに積極的に溶け込もうとするメンタリティ」です。
全体的に日本語以外の言語に対しては、苦手意識を持つことも多い我々日本人。
先に欧州の土を踏んだ選手たちの中には、残念ながら思うように成功できなかった先人たちもいます。
- 「相手が何を言っているか分からないから輪に入れない、入ろうとしない」
- 「監督やコーチから言われたことに、とりあえず『イエス』と答えておいて分かったふりをするが、実は全然理解できてない」
過去に日本人選手を受け入れた一部の球団において、日本人に対するこうしたネガティブな印象を持っている指導者などがいることは、残念ながら事実です。
そしてそんな不和が原因で孤立し、せっかくの実力を十分に発揮できなかったという選手が少なからずいることも、また事実なんです。
これから欧州の地を目指す日本人選手の皆さんは、こうした悪いイメージを打破するための努力が必要になってきます。そのために必要なのは、チームの一員としての外向的かつ積極的な取り組みです。
初めは語学が十分でなくとも、異文化の中でチームメイトと積極的に仲良くなろうとする姿勢。
首脳陣からの指示が一度で理解できなくとも、頑張ってしっかりと理解しようとする姿勢。日々こうした姿を見せていけば、同僚や仲間たちは必ず受け入れてくれますよ。
外国人選手に求められるものが多い理由
しかし、「野球をやるだけならともかく、ユースの指導や理事会出席まで求められるなんて…」と思われた方もいるかもしれませんね。
近年は少しずつ日本での欧州野球の認知度も高まり、
「○○選手は日本ではだめだったけど、オランダあたりに行けばまだまだやれるんじゃない」
という声をネット上で見かける機会も増えました。
ですが実際のところ、既に見てきた通り欧州球界挑戦とて決して簡単ではありません。
1人の人間として求められる貢献の形が多い分、むしろ日本人選手にとっては欧州挑戦の方がアメリカ挑戦よりも、ハードルが高いとさえ言えるのです。
だからと言って、欧州の各球団が理由もなしに無茶な要求をし、日本人選手のハードルを上げているわけではありません。
こうした背景には、まだまだ潤沢とは言えない彼らの財政事情があります。
欧州においては、各国の野球リーグは純然たるプロ組織ではなく、「プロ契約選手も含むクラブチームの集まり」というのがより適切な表現と言えます。
当然、よほど強力なスポンサーがついているのでもない限り、何人もプロ契約選手を抱えるわけにはいかないのです。
限られた補強予算を少しでも有効に使うためには、その選手に少しでも多くの側面から、長期的な意味でのチームの底上げに貢献してもらわなければなりません。
だからこそ、彼らにはその日その日の試合での勝利の立役者となることはもちろん、「明日の我がチーム」にとっても助けとなることが求められるわけです。
この役割を果たし、彼らの期待に応えるためには相当な覚悟が必要です。極めて厳しい言い方にはなりますが、もしも自分がその役割を演じきれるという自信が持てないのであれば、欧州行きについては再考されることをお勧めします。
それでも欧州を目指したいという選手の皆さんへ
基本的に、国際球界の中で無名の選手たちは自ら球団に対して売り込みを行い、トライアウトの機会を設けてもらうというのが主流になってきます。
しかし、特に初めて挑戦する場合は勝手がわからず、誰に連絡すればいいか分からないということもありますよね。そこで、ヒントになりそうなエージェント機関をいくつかご紹介します。
Footrans(フットランス)
オランダ発、現在は福岡とドイツに拠点を置く日系エージェンシーです。
欧州各国の球団とコネクションがあり、定期的に「求人案件」を自社Twitterでも発信し続けています。何といっても日本語対応が可能なので、初めて挑戦する方にはお勧めの会社と言えるでしょう。
【野球/2019年ヨーロッパ挑戦】
来年ヨーロッパでのプレーを希望する選手達から、多くご依頼頂いています。誰でもかれでも海外、ヨーロッパに行けば良いとは思いませんが、選択肢として持っていても良いのではと、思います。まだまだ募集中です!お気軽にDM下さい! pic.twitter.com/xRuCJFOOmU— フットランス/Footrans (@FootransHolland) December 11, 2018
Baseball Jobs Overseas(ベースボール・ジョブズ・オーバーシーズ)
英語でのやりとりにも自信があれば、こちらにも登録してみましょう。
オーストリアのアタナン・プッシュハイム・アスレチックスの選手でもある、カナダ出身のデビッド・バーンズ氏が運営するスカウティング用のWebサイトです。
登録すると自身のプロフィールページが制作され、求める条件に合致すると判断した球団からスカウトが届きます。
欧州だけでなくオーストラリアともコネクションがあるので、幅広く可能性を試したい方にお勧めです。
Italian Baseball Road Trip Part 2: Fortitudo Bologna & Novara BC: https://t.co/SdQNc2T4J6 via @YouTube
— BaseballJobsOverseas (@David_BurnsJR) January 7, 2019
まとめ
今回は、
- 日本人選手が欧州の野球チームに入団しプレーするための方法
- 欧州球界に挑戦するうえで心得ておくべきこと
についてご紹介しました。
日本人選手が日本やアメリカ以外の国でも、アスリートとしてのキャリアを続ける可能性を広げられることは、自身はもちろん後進のさらに下の世代の選手たちにとっても大変意義のあることです。
もちろん、欧州の地で成功することができれば、それは受け入れた側である球団もハッピーにすることができるというのは、言うまでもないことでしょう。
渡るのが太平洋であろうがユーラシア大陸であろうが、海外挑戦が決して簡単なものでないことに変わりはありません。しかしそこでポジティブな結果を残すことができれば、それは間違いなく選手の皆さんのかけがえのない財産になるはずですよ。
それではまた!
ヨーロッパ(欧州)野球に関してはこちらの記事でも紹介しておりますので、合わせてお読みください。
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