こんにちは!
突然ですが、皆さんは「ヨーロッパの野球」と聞いてぱっとイメージがわきますか?
- ヨーロッパと言えばサッカーじゃないの?
- そういえばオランダとWBCで対戦しなかったっけ
など反応は様々かと思います。
確かに、私たち日本人にとってはヨーロッパのスポーツと言えば、やはりサッカーというイメージが非常に強いのは事実。
しかし、スポーツ大国がひしめき合うかの地では様々なスポーツが親しまれており、規模は小さくとも野球もその一つなのです。
今回は
- 欧州野球の歴史
- 現在の欧州における野球事情や競技人口
- 欧州各国における野球の知名度・認知度
についてまとめましたので、最後までご覧ください!
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ヨーロッパ(欧州)野球に関してはこちらの記事でも紹介しておりますので、合わせてお読みください。
目次
【欧州野球】欧州野球の歴史・概要
残念ながら、日本では報じられることがほとんどないと言っていい欧州野球ですが、意外にもその歴史には日本野球にも負けないほどの厚みがあります。
現在、欧州球界で強豪と目されている国々の野球連盟は、どれも設立から概ね50年超。中には、オランダ王立野球・ソフトボール協会(KNBSB)のように、既に100年を超えるものも!
では、ここからは欧州を代表するいくつかの国々をピックアップしてご紹介していきましょう。
オランダ
オランダ王立野球・ソフトボール協会(Koninklijke Nederlandse Baseball en Softball Bond, KNBSB)の設立は、1912年。2012年に、めでたく協会創設100周年を迎えました。
1922年には、国内リーグであるフーフトクラッセ(Hoofdklasse、オランダ語で「一部リーグ」の意味)がスタートしています。
ちなみに、現存する日本のプロ野球12球団の中で最も歴史の長い、読売ジャイアンツの前身にあたる大日本東京野球倶楽部の創設は、1934年のこと。
日本プロ野球よりも20年以上も前に、既にオランダには野球とソフトボールの競技連盟が置かれていたことになります。
フーフトクラッセには8球団が参加し、前後期制で1球団当たり42試合を戦います。その後上位4チームによるプレーオフを経て、勝ち残った2チームが7回戦制の「オランダシリーズ」で雌雄を決します。
世界野球・ソフトボール連盟(World Baseball Softball Confederation, WBSC)が発表している世界ランキングでは、オランダ代表は現在欧州勢として最高位となる8位にランクイン(2018年12月17日現在)しています。
今年11月に予定されている国際大会、第2回WBSCプレミア12にも参戦します。
登録選手数はやや古いデータになりますが、2007年11月1日時点で23,926人。日本でシーズン最多本塁打(60本)の記録を持つウラディミール・バレンティン外野手(東京ヤクルトスワローズ)や、MLB屈指の遊撃手の1人であるアンドレルトン・シモンズ内野手(ロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイム)などのスター選手も揃い、今や世界屈指の強豪国となっています。
https://twitter.com/sportsnavi/status/1040805058391158784
Sólo faltan 4 días para #PlayersWeekend pic.twitter.com/bs7E97y9w0
— Andrelton Simmons (@Andrelton) August 20, 2018
イタリア
イタリア野球・ソフトボール連盟(Federazione Italiana Baseball Softball, FIBS)は、第2次世界大戦後に生まれた野球とソフトボールの両連盟が合併する形で誕生。
2度の名称変更を経て、1968年に現在の名前に落ち着きました。
国内リーグは8球団からなるセリエA1を頂点に構成され、2018年は1球団あたり28試合を戦った後、プレーオフを経て勝ち残った2チームが「イタリアシリーズ」で争う形で開催しました。
かつては北京五輪で日本代表の正左翼手を務めたG.G.佐藤外野手(元埼玉西武ライオンズ、千葉ロッテマリーンズ)を筆頭に、日本人選手も過去に計8人プレーしています。イタリアに加え、サンマリノのチームも参加しているのも特徴です。
G.G.佐藤選手のおかげで、ボローニャという素敵な街に行けたのは本当に良い思い出。 pic.twitter.com/7GcmxJOtkE
— シロクマニアップル (@sirokumania) October 9, 2014
イタリア代表のWBSC世界ランキングは現在16位。2年に1度開催されるヨーロッパ選手権では、オランダに次ぐ過去10回の優勝経験を誇る強豪チームです。その最大の武器は、破壊力満点の打線と言えるでしょう。
2018年秋に、直近のヨーロッパ選手権で6位以内に入った国々を招いて開催された国際大会「スーパー6」では、強豪チェコ相手になんと5回までに大量25得点を奪い、見事コールド勝ちを収めました。
これほどまでの爆発力は、日本プロ野球でもそうそう拝めないかもしれませんね。
そんなイタリア代表の中心選手の1人であるアレッサンドロ・マエストリ投手(T&Aサンマリノ・タイタンズ)は、オリックス・バファローズ時代にはオールスター出場も果たしました。
ドイツ
2006年の第1回大会からWBCに参加している上記2か国に引き続いて、2013年の第3回大会から始まった予選で一気にその勢力を増やした欧州諸国。
その1つとして挙げられるのが、世界ランキング22位のドイツです。
同国の野球とソフトボールを統括するドイツ野球・ソフトボール連盟(Deutscher Baseball und Softball Verband, DBV)は、現在約3万人の登録選手数を抱え、その数は欧州諸国の中でも最大規模と言われています。
国内リーグは、サッカーなどと同じくドイツ語で「連邦リーグ」を意味する「野球ブンデスリーガ」。
その1部リーグには広い国土を反映し、南北2リーグに16球団が所属しています。シーズンは各球団が交流戦なども含めて40試合を戦い、その後プレーオフを経て「ドイッチャー・マイスターシャフト」で年間王者を決める形です。
近年、他の欧州諸国と同様ドイツもMLBに有力選手を輩出するように。その代表格が、なんといってもマックス・ケプラー外野手(ミネソタ・ツインズ)でしょう。
プロのバレエダンサーである両親の元ベルリンで生まれ育った彼は、2009年に国際FAとしてツインズに入団。
契約金77万5000ドルは、当時のヨーロッパ人野球選手にとっての最高金額でした。現在は同球団の正右翼手としてプレーしており、2018年には156試合に出場して打率.224、20本塁打(キャリアハイ)、58打点という成績を残しています。
ちなみに、真面目で勤勉と言われる国民性から、職人肌の選手を揃えて小技を駆使する野球をイメージされがちなドイツ代表ですが、意外にもパワーを前面に押し出したフィジカル重視のスタイルを武器としています。
そんなギャップもドイツ野球の魅力かもしれませんね!
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イギリス
サッカーの母国として名高いイギリスですが、実は野球の原形の1つでもある「ラウンダーズ」と呼ばれるスポーツを生み出した国でもあります。
もちろん、野球やソフトボールも規模は小さいながらも息づいており、統括組織であるイギリス野球連盟(British Baseball Federation, BBF)の下少しずつ発展を続けているんです。
国内トップリーグはNBLと呼ばれ、2018年は6球団が所属(チーム数は年によって変動があります)。
各球団がそれぞれ20試合のリーグ戦をこなした後、プレーオフにより年間王者を決定します。
既に紹介した3か国と比べるとよりアマチュア的なレベルですが、近年は2013年に初の野球専用スタジアムである「ファーナム・パーク(Farnham Park)」が誕生するなど、環境整備が進められています。
また、今年最大のトピックと言えるのが欧州史上初のMLB公式戦「ロンドンシリーズ」の開催。
現在、サッカー・プレミアリーグの強豪チームである「トッテナム・ホットスパー」が本拠地とするロンドンスタジアムにて、6月29日と30日にニューヨーク・ヤンキース-ボストン・レッドソックスによる、宿命のライバル対決が行われるのです。
このシリーズのチケットは既に売り切れており、イギリスにおいても非常に注目されているイベントであることが伺えますね!
General Sale tickets have now sold out.
In the event that more tickets become available, those registered with the MITEL & MLB PRESENT LONDON SERIES 2019 will be the first to know. https://t.co/9Vsull0dBA
— MLB London (@mlblondonseries) December 6, 2018
【欧州野球】欧州における野球の知名度・認知度
冒頭にも述べた通り、欧州はスポーツ大国がひしめき合う地域です。
当然、様々なスポーツが日常的に親しまれているわけですが、裏を返せばそれは競技間の競争が激しいということでもあります。
そうした環境の中で、野球やソフトボールは残念ながらメジャースポーツとしての地位を確立しきれているとは言い切れないのが現状です。
一昔前の日本のような、「野球について聞かれれば程度の違いはあれ、誰でもある程度の知識は持っている」という状況とは言い難いでしょう。
欧州が「野球不毛の地」と長らく呼ばれてきたことも、ある側面からすれば間違いとは言えないかもしれません。
しかしながら、決してネガティブなことばかりでないんです。上に挙げた4か国を含め、欧州における野球・ソフトボール統括連盟であるWBSCヨーロッパには、現在40か国が加盟中。
これは一般的に野球が盛んな地域とされるアジアやアメリカ大陸よりも多く、地域別では最も多い数なんですよ!
さらに重要なのは、その40か国のほぼ全てがヨーロッパ選手権(予選大会も含む)に継続して参戦し続けていることです。
つまり、規模は小さくとも競技連盟としての活動実態がきちんとあり、組織として機能し続けているということなんです。
これは、スポーツ文化を安定的に発展させていく文化的・経済的な先進国としての土壌がある、という現れじゃないかなと思います。
昨年6月、欧州各国のリーグの前年度王者が「欧州ナンバーワン」を争う国際大会、「ヨーロッパチャンピオンズカップ」を訪れる機会がありました。
オランダ・ロッテルダムで開催されたこの大会中、大会ホストとなった地元チームの試合は全てほぼ満員となり、明らかに関係者や家族ではない地元のファンが多数詰めかけていました。
また隣国のドイツをはじめ、フランスやイタリア、チェコなどからも熱狂的なファンが集まり、連日ひいきチームに対し熱い声援を送っている姿がとても印象的でした。
日本のように決してスポーツとしてメジャーではないかもしれないけれど、彼らなりに積み重ねてきた歴史があって、贔屓球団を支える熱いファンたちがいて、きちんと野球を中心としたコミュニティが成立しているんです。
これは本当に素晴らしいことだと思いますし、これからも応援し続けていきたいですね。
まとめ
今回は
- 欧州野球の歴史
- 現在の欧州における野球事情や競技人口
- 欧州各国における野球の知名度・認知度
についてまとめました。
日本プロ野球や高校野球、MLBなどと比較すれば、まだまだ日本人にとって馴染みがない存在と言える欧州野球。
しかし、そこには日本やアメリカにはない独自の面白さや魅力があるんです。
今後もスポアシではこの欧州野球について色々と取り上げていきたいと思っているので、是非楽しみにしていてくださいね!
それではまた!
ヨーロッパ(欧州)野球に関してはこちらの記事でも紹介しておりますので、合わせてお読みください。
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